細菌DNA塩基配列解析・分子系統解析 (16S rDNA)

特長

  • 日本薬局方参考情報収載の微生物迅速試験法を準用したプロトコルによる同定

  • 当社微生物同定システム「ENKI®」を使用し、分子系統解析まで実施
  • 基準株の塩基配列データで構成される「微生物同定データベース」で解析

  • 帰属種・近縁種のバイオセーフティレベル付きで報告

  • スクリーニングから新種提唱論文用データまで幅広く対応

概要

細菌の同定に一般に用いられている16S rDNAでは、上流側の約500 bpの部分塩基配列で近縁種の同定がほぼ可能ですが、全長配列(Full)を解析する方がより同定の精度が高くなり、帰属種・近縁種の同定に優れます。特に、細菌を特許寄託する場合や新種提唱する場合には、1,300 bp以上のDNA塩基配列長による解析が必要となります。

新種提唱などの論文投稿では、分子系統解析が必須となることがあります。当社では近隣結合法(NJ; Neighbor Joining)のように距離行列(Distance matrix)による手法に加え、最節約法MP; Maximum Parsimony)や最尤法 (ML; Maximum Likeli hood)による分子系統解析も対応可能です。

受入可能な検体

種類

必要量

備考

平板培養物

1 枚

当社で培養確認を行うか、指定コロニーから直接 DNAを抽出するかの ご選択が可能です。生育性や純粋性に疑義がある場合には、ご連絡し ます。

常温あるいは冷蔵 ( クール便 ) でお送り下さい
( 解析対象とするコロニーに必ず標付けをして下さい )。

液体培養物
スラント ( 斜面培養物 )
アンプル ・ グリセロールストック

1 本

当社での培養確認を必須とします。培養条件をご指示下さい。 液体培養物から直接解析を実施する場合、承諾書にご署名をいただきます。

DNA 抽出物

濃度 : 30 ng/µL 以上
量 : 50 µL 以上

PCR 増幅を確認している場合には、電気泳動像のご提供をお願いしま す。承諾書にご署名をいただきます。

PCR 産物

濃度 : 100 ng/µL 以上
量 : 20 µL 以上

電気泳動像のご提供をお願いします。承諾書にご署名をいただきます。

シーケンス生データ
(ab1 ファイル )
塩基配列テキストファイル (fasta ファイルなど )

オプションの簡易分子系統解析、分子系統解析のみのご依頼となります。シーケンサーから出力された生データ (ab1 ファイル ) から塩基配列を決 定し、 解析することも可能です。

解析の流れ

  • 培養・純度確認

  • DNA抽出

  • PCR増幅

  • シーケンス

  • 塩基配列決定

  • 相同性検索

  • 系統解析

納品内容

試験項目

報告内容

付属データ

16S rDNA-500 (BLAST)
16S rDNA-Full (BLAST)

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位

・ DNA塩基配列データ
・ シーケンス波形データ

16S rDNA-500
16S rDNA-Full

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位
・ 当社微生物同定データベース照合結果の上位30位
・ 系統樹
・ 同定結果 +帰属種・近縁種のバイオセーフティレベル

16S rDNA-500 ( 考察付 )
16S rDNA-Full ( 考察付 )

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位
・ 当社微生物同定データベース照合結果の上位30位
・ 系統樹
・ 考察 (同定に至った経緯の文章説明)
+ 同定結果 +帰属種・近縁種のバイオセーフティレベル

16S-rDNA 500 と Fullの違い

主な解析目的
品質管理、衛生管理

長所
・最小限のプライマーによるシーケンスでコスト安
・属および近縁種の同定が可能

短所
・解析する塩基配列が短いため、同定の精度がやや劣る
・近縁種が複数候補にあがり、一つに絞り切れない場合がある

主な解析目的
研究開発、特許取得、学術研究

長所
・16S-500 よりも、解析する塩基配列が長いため、同定の精度が高い

短所
・PCR プライマーと中間プライマーによるシーケンスが必要となり、コスト高い

報告書サンプル

SAMPLE/16S rDNA-500 (BLAST) 報告書v1.12のサムネイル

価格・納期

試験項目

検体数

単位

単価 (通常)(税抜)

単価 (特急)※1(税込)

目安納期

16S rDNA-500 (BLAST)

1~8

16,000 円

6 営業日

9~16

14,000 円

7 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

16S rDNA-500※2

1~8

21,000 円

24,200 円

9 営業日

9~16

19,000 円

21,800 円

10 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

16S rDNA-500 ( 考察付 )

1~8

24,000 円

27,200 円

12 営業日


9~16

22,000 円

24,800 円

14 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

試験項目

検体数

単位

単価(通常)(税抜)

単価(特急)※1(税込)

目安納期

16S rDNA-Full(BLAST)

1~8

33,000 円

6 営業日

9~16

29,000 円

7 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

16S rDNA-Full※2

1~8

38,000 円

44,600 円


9 営業日

9~16

34,000 円

39,800 円

10 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

16S rDNA-Full ( 考察付 )

1~8

41,000 円

47,600 円

12 営業日

9~16

37,000 円

42,800 円

14 営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

※1 DNA特急は、5営業日で「相同性検索結果の上位5位」を中間報告します。また、一度にお受けできる検体数は8株までです。
※2 ISO/IEC 17025認定同定試験もあります。お気軽にお問い合わせ下さい。

  • 常用培地以外の培地や嫌気条件での培養などをご指定の場合、追加費用が必要となります。【ガイド】 追加費用のご案内をご参照下さい。
  • ご希望のお客様には、帰属種・近縁種の分離源情報を提供します (試験項目 BLAST は対象外)。
オプション

<オプション> 配列比較・分子系統解析

・ 簡易分子系統解析や分子系統解析は、お手持ちのシーケンスデータ (ab1ファイル) や塩基配列テキストファイルから行うことも可能です。
・ 分子系統解析は、近隣結合法 (NJ法) の他、最節約法 (MP法) や最尤法 (ML法) も対応します。

価格・納期

試験項目

報告内容

単価(税抜)

納期

配列比較

ご指定の微生物株の配列比較 ( アライメント ) を行い、 相違箇所を明確にします。

2 株間比較

+ 1,000 円

+ 1 営業日

3 株間比較

+ 2,000 円

簡易分子系統解析

当社微生物同定システム 「ENKI®

」 により分子系統解析し、 帰属種 ・ 近縁種を推定します。

考察なし

5,000 円

5 営業日

考察あり

8,000 円

6 営業日

配列決定

+ 2,000 円

+ 1 営業日

分子系統解析※ 3
(16S rDNA)

論文投稿などを前提とした分子系統樹を作成し、 検体の帰属種 ・ 近縁種を推定します。
既報の調査、 新種データの確認、 必要な 塩基配列の選定および取得を行い、 「BioEdit」 および 「MEGA」 を用いて分子系統樹を描画し、 系統的な位置を推定します。 報告は分子系統樹 データを 「PowerPoint」 ファイルで納品します。
なお、 ご指定のない場合、 近隣結合法 (NJ 法 ) による系統樹作成となります。

シーケンス
+分子系統解析

73,000 円~

20 営業日~

分子系統解析のみ

40,000 円~

14 営業日~

※3 近隣結合法 (NJ法) 以外の系統樹作成をご希望の場合、追加費用が必要になることがあります。

簡易分子系統解析 と 分子系統解析の違い

活用できる分野
品質管理、衛生管理

解析目的
・検体がどの既知種に近縁なのかを推定する

系統解析に供するデータまたは塩基配列データ
・当社微生物同定システム「ENKI®」登録の基準株の塩基配列データ

活用できる分野
学術研究、論文投稿など

解析目的
・検体の分類学的位置を推定する

系統解析に供するデータまたは塩基配列データ
・主に対象分類群の最新の文献を参照した分類学的位置を推定するために必要と考えられる塩基
配列データ

ご依頼前の同意事項

・ 機能性表示食品の届出のため作業手順書を発行する際は、発行費用 3,000円 (税抜) をご請求します。
・ 多検体でご依頼の場合の目安納期は、お問い合わせ下さい。
・ ご依頼前の同意事項(共通)を必ずご確認下さい。
・ PCR時のポリメラーゼ反応エラーおよびシーケンサーのシグナル強度に起因する混合塩基の判定、ばらつきにおける試験結果への影響は考慮しておりません。
・ 検体の状態によりPCR増幅ができないことがあります。
・ バイオセーフティレベルは、「細菌:日本細菌学会バイオセーフティ指針」、「カビ・酵母:Atlas of clinical fungi」または「各保存機関の情報」 を採用しています。他の機関や海外との情報が異なる場合があります。
・ バイオセーフティレベルは、病原体の危険度レベルに基づく分類です。結果に報告されるバイオセーフティレベルは、当社がその安全性(危険性)を保証するものではありません。
・ バイオセーフティレベル (BSL) は、各微生物種に対し定められています。報告書で示すBSLは目安であり、検体自体のBSLを示すものではありません。